『死にたくなったら電話して』を読んで おすすめする人・感想
「死にたくなったら電話して」
李 龍徳
定価: 850円
◆おすすめする人
・不思議な魅力のある人が好きな人
・ハッピーエンド、バッドエンドに飽きた人
・モヤモヤした気分にひたりたい人
◆感想
不思議な読了感です。最初読み終えた時は自分の中で納得できずにモヤモヤしました。
主人公の徳山が、ハツラツとは反対の、気だるさを持ちながら行き着くところまで流れていく感じは、読んでいてモヤモヤとしてきます。
一方のヒロインの初美は、「世界に期待しない」という気持ちを持ち、全力で反発したりしていたのが、だんだん全力でやること自体からも離れて、何もしない、食べることもしないでいく対比は面白いです。
「世界に期待しない」先導者と流れ者が、行き着く先が「何もしない」という結果。山籠りの仙人の様な崇高な行動と一緒のことをしてるのが、二人の意思だからハッピーエンドなのか、意思もない状態になってるバッドエンドなのか分からなくさせます。
こんな本なかなか出会えないです。
『殺人出産』を読んで おすすめする人・感想
「殺人出産」
村田 沙耶香
定価: ¥ 600
◆おすすめする人
・いびつな倫理観を味わいたい人
・自分の中の「正しさ」を揺るがしたい人
・SFが好きな人
※ホラーでは無いです。
◆感想
登場人物全員が、正常。
だけどその「正常」の判断軸自体が、今の感覚だと「異常」。
だから、登場人物全員が、異常。
自分はどっちの世界の人物として読み進めるか考えてしまう本です。
もしも、この世界が正しいってなったら、私も同じ様に暮らしてしまうかもしれないと思ってしまいます。
殺人のために出産を続ける人を、意志の強い人、自分の軸がしっかりある人みたいに見て、応援しちゃうかも。
今の私の正常って、
日常だと人を殺めては行けないけど、
戦争中だと敵を殺めて称賛される、
くらいの今もある、簡単に越えられる正常だったりしないかと、この本を読むと考えてしまいます。